Pain Stock 大江さんインタビュー
― HELVETICAのドーナツ開発について ―
HELVETICAのドーナツは、Pain Stock開発の生地をベースに開発が進められました。
今回お話を伺ったのは、実際にHELVETICAの生地開発を担当されたPain Stockの大江さん。
“ふわっと軽いのに、味が濃い”。
その独特な食感や香りは、どのように生まれたのか。
素材、発酵、手の感覚、そして「日本ならではのドーナツ」という考え方まで、開発の裏側をじっくりお聞きしました。
今回お話を伺ったのは、実際にHELVETICAの生地開発を担当されたPain Stockの大江さん。
“ふわっと軽いのに、味が濃い”。
その独特な食感や香りは、どのように生まれたのか。
素材、発酵、手の感覚、そして「日本ならではのドーナツ」という考え方まで、開発の裏側をじっくりお聞きしました。
「自分のレシピを“誰かに渡す”のは初めてだった」
Q. 今回のドーナツ開発のお話を最初に聞いた時、どう感じましたか?
A.普段から、自分でレシピを考えて作ることはずっとやってきたんですけど、それって基本的には自分たちのお店の中だけだったんですよね。
今回、Pain Stockとして依頼を受けて、平山さんから「一緒にやってみない?」と声をかけてもらって。
自分で考えたものを“誰かに渡す”という経験があまりなかったので、新鮮さもありましたし、正直プレッシャーもありました。
ただ、やっていること自体は普段とそんなに変わらなくて。
「どうやったらもっと美味しくなるか」を考えながら作っていました。
普段は、“ただ美味しいものを作る”という感覚なんですけど、今回はしんこうさんとコラボするにあたってのストーリーだったり、お店全体の商品になるということもあって。
ラインナップも、ただ美味しいだけじゃなくて、「これはこういう特徴がある」というところまで考えないといけなかったので、そういうことも含めて色々考えながら作っていました。
今回、Pain Stockとして依頼を受けて、平山さんから「一緒にやってみない?」と声をかけてもらって。
自分で考えたものを“誰かに渡す”という経験があまりなかったので、新鮮さもありましたし、正直プレッシャーもありました。
ただ、やっていること自体は普段とそんなに変わらなくて。
「どうやったらもっと美味しくなるか」を考えながら作っていました。
普段は、“ただ美味しいものを作る”という感覚なんですけど、今回はしんこうさんとコラボするにあたってのストーリーだったり、お店全体の商品になるということもあって。
ラインナップも、ただ美味しいだけじゃなくて、「これはこういう特徴がある」というところまで考えないといけなかったので、そういうことも含めて色々考えながら作っていました。
「日本ならではのドーナツを作りたかった」
Q. HELVETICAのドーナツを作る上で、最初にどんな方向性を考えましたか?
A.これは普段お店でもそうなんですけど、添加物は全く使っていないわけではないんですが、極力使いたくない、というのはありました。
あと、ミックス粉みたいなものは、できるだけ避けたかった。
国産小麦を使って、ただ甘いだけじゃなくて、甘さに深みがあるドーナツを作りたかったんです。
ふんわりしているけど、食感は軽くて、味はしっかり濃い。
それが自分の中のテーマでした。
あと、しんこうさんや菓匠きくたろうさんの存在から、“和”のイメージもすごく強くて。
ドーナツって元々は海外の食べ物だと思うんですけど、日本人が作るからこそできる表現があるんじゃないかなと思ったんですよね。
そこで最初に浮かんだのが、葛粉だったり、甘酒を使ったドーナツでした。
あと、ミックス粉みたいなものは、できるだけ避けたかった。
国産小麦を使って、ただ甘いだけじゃなくて、甘さに深みがあるドーナツを作りたかったんです。
ふんわりしているけど、食感は軽くて、味はしっかり濃い。
それが自分の中のテーマでした。
あと、しんこうさんや菓匠きくたろうさんの存在から、“和”のイメージもすごく強くて。
ドーナツって元々は海外の食べ物だと思うんですけど、日本人が作るからこそできる表現があるんじゃないかなと思ったんですよね。
そこで最初に浮かんだのが、葛粉だったり、甘酒を使ったドーナツでした。
「チェーン店とは、作り方そのものが違う」
Q. 一般的なドーナツとの違いは、どこにあると思いますか?
A.チェーン店では冷凍生地やミックス粉を使うことも多いと思うんですけど、自分は逆に“ゼロから組み立てる”ことしかやってこなかったんですよね。
どんな粉、副材料を合わせるか、どんな温度帯で発酵させるか
全部を自分で考えて作る。
それが当たり前になっているので、そこが大きな違いかなと思います。
あと、この生地は機械ではうまく扱えなかったんです。
実際に機械で分割や丸めを試したこともあったんですけど、生地がボロボロになってしまって。
だから、人の手でしか作れない生地なんですよね。
どんな粉、副材料を合わせるか、どんな温度帯で発酵させるか
全部を自分で考えて作る。
それが当たり前になっているので、そこが大きな違いかなと思います。
あと、この生地は機械ではうまく扱えなかったんです。
実際に機械で分割や丸めを試したこともあったんですけど、生地がボロボロになってしまって。
だから、人の手でしか作れない生地なんですよね。
「“軽いのに味が濃い”食感をどう作るか」
Q. HELVETICAのドーナツは、軽い食感なのに味がしっかりしています。その食感や味わいは、どのような考え方から生まれているのでしょうか?
A.例えばミルクドーナツは、18度で長時間発酵させています。
普通の冷蔵発酵とは違って、その温度帯だと酵母だけじゃなく、酵素も働くんです。
グルテンが分解されて、冷蔵発酵では出ない食感になる。
さらに澱粉が糖に変わって、自然な甘みも生まれるんですよね。
あと、乳製品って18度発酵にすると独特の香りが出るんです。
冷蔵発酵は、逆にすごくクリアな感じになるんですけど、18度発酵は微妙な温度帯で長く発酵を取ることで、独特の深みが出る。
それが多分、他ではあまり味わえない香りなのかなと思います。
そこに甘酒も少し加えています。
でも、「甘酒味」にしたかったわけではないんです。
僕自身、あんまり甘酒の味自体は好きではなくて。
好きな人は好きだと思うんですけど、みんなが好きかと言われたら、そうではないと思うんですよね。
だから、“甘酒と気づかないけど、後味に深みが残る”使い方をしたかった。
甘酒と牛乳と小麦粉を60度くらいまで炊いて、少しゲル状にして生地に入れていて。
そうすると、ふわっと軽いけど、ちょっと“もちっ”とした食感になるんです。
砂糖とは違う、麹由来のやさしい甘みが後味に残る。
ミルクドーナツは、その独特の香りと深みが特徴ですね。
普通の冷蔵発酵とは違って、その温度帯だと酵母だけじゃなく、酵素も働くんです。
グルテンが分解されて、冷蔵発酵では出ない食感になる。
さらに澱粉が糖に変わって、自然な甘みも生まれるんですよね。
あと、乳製品って18度発酵にすると独特の香りが出るんです。
冷蔵発酵は、逆にすごくクリアな感じになるんですけど、18度発酵は微妙な温度帯で長く発酵を取ることで、独特の深みが出る。
それが多分、他ではあまり味わえない香りなのかなと思います。
そこに甘酒も少し加えています。
でも、「甘酒味」にしたかったわけではないんです。
僕自身、あんまり甘酒の味自体は好きではなくて。
好きな人は好きだと思うんですけど、みんなが好きかと言われたら、そうではないと思うんですよね。
だから、“甘酒と気づかないけど、後味に深みが残る”使い方をしたかった。
甘酒と牛乳と小麦粉を60度くらいまで炊いて、少しゲル状にして生地に入れていて。
そうすると、ふわっと軽いけど、ちょっと“もちっ”とした食感になるんです。
砂糖とは違う、麹由来のやさしい甘みが後味に残る。
ミルクドーナツは、その独特の香りと深みが特徴ですね。
「生地ごとに、丸め方や力の入れ方まで変えている」
Q. ドーナツごとに、製法も違うんですか?
A.全然違います。
例えばブリオッシュ系は、ミルクほど軽くはせず、少しきめ細かくしたかったので、冷蔵発酵で作っています。
逆にミルクは、ふわっと軽い食感にしたかったので、生地の扱い方もかなり変えています。
丸め方もそうですし、力の入れ方も違うんですよね。
ミルクは、あまり強く触ってしまうと、あの“ふわシュワ”な食感にならないので、優しく丸めています。
逆にブリオッシュ系は、少しきめを整えたいので、しっかりめに丸める。
“プルンシュワ”というか、ちょっと弾力感のある食感にしたかったんです。
目指す食感によって、生地への触れ方や扱い方まで全部変えているので、その違いが食べた時の違いにつながっているのかなと思います。
例えばブリオッシュ系は、ミルクほど軽くはせず、少しきめ細かくしたかったので、冷蔵発酵で作っています。
逆にミルクは、ふわっと軽い食感にしたかったので、生地の扱い方もかなり変えています。
丸め方もそうですし、力の入れ方も違うんですよね。
ミルクは、あまり強く触ってしまうと、あの“ふわシュワ”な食感にならないので、優しく丸めています。
逆にブリオッシュ系は、少しきめを整えたいので、しっかりめに丸める。
“プルンシュワ”というか、ちょっと弾力感のある食感にしたかったんです。
目指す食感によって、生地への触れ方や扱い方まで全部変えているので、その違いが食べた時の違いにつながっているのかなと思います。
「積み重ねた試作が、全部つながっている」
Q. Pain Stockでの経験は、今回どのように活かされましたか?
A.Pain Stockでは、業務後に自由に試作をさせてもらえる環境があったんです。
平山さんが「勉強だから好きにやっていいよ」と言ってくださって。
その環境で、本当にたくさん試作をしてきました。
「甘酒を入れたらどうなるのか」
「18度発酵と5度発酵では何が違うのか」
そういうのをずっと試し続けてきたんです。
今回のレシピは、その積み重ねの集約だと思っています。
平山さんが「勉強だから好きにやっていいよ」と言ってくださって。
その環境で、本当にたくさん試作をしてきました。
「甘酒を入れたらどうなるのか」
「18度発酵と5度発酵では何が違うのか」
そういうのをずっと試し続けてきたんです。
今回のレシピは、その積み重ねの集約だと思っています。
「失敗も含めて、全部楽しかった」
Q. かなり科学的で、トライアンドエラーも多かったのでは?
A.かなり科学かなとは思います。
「これとこれを組み合わせたらどうなるんだろう」とか。
時間、水分、空気、温度みたいなものを調整していくので。
もちろんトライアンドエラーではあるんですけど、失敗したとしても、それも勉強になるんですよね。
だから、自分の中では“めちゃくちゃ頑張った”という感覚はあまりなくて。
もともと興味があるからやっている、という感覚なんです。
苦しいというより、ずっと楽しかったですね。
「これとこれを組み合わせたらどうなるんだろう」とか。
時間、水分、空気、温度みたいなものを調整していくので。
もちろんトライアンドエラーではあるんですけど、失敗したとしても、それも勉強になるんですよね。
だから、自分の中では“めちゃくちゃ頑張った”という感覚はあまりなくて。
もともと興味があるからやっている、という感覚なんです。
苦しいというより、ずっと楽しかったですね。
「生地作りに集中できる環境があった」
Q. FAVORIや菓匠きくたろうの存在は、どんな影響がありましたか?
A.トッピングのパーツをFAVORIさんで作ってもらったり、きくたろうさんの餡を使ったりしていました。
「こんなのありますか?」って聞くと、「FAVORIにあるよ」とか、「きくたろうにあるよ」って返ってくる環境だったので。
それを実際に持ってきてもらって、試作して、という形で進められたんです。
だから、自分はあまりそこを心配せずに、生地作りに専念できたというか。
そこはすごく助かりましたね。
「こんなのありますか?」って聞くと、「FAVORIにあるよ」とか、「きくたろうにあるよ」って返ってくる環境だったので。
それを実際に持ってきてもらって、試作して、という形で進められたんです。
だから、自分はあまりそこを心配せずに、生地作りに専念できたというか。
そこはすごく助かりましたね。
「発酵から生まれる、“じわっと広がる甘み”」
Q. 和菓子・洋菓子素材を掛け合わせることで、生まれた面白さはありましたか?
A.甘酒とかは特に、日本独特のものだなと思いました。
食べた時に、じわーっと広がる感じがあるんですよね。
染み渡るというか。
海外の甘さって、もっとストレートなものが多いと思うんですけど、麹由来の甘みって、奥行きがある。
砂糖の甘さとはちょっと違うんです。
甘酒を使っているんですけど、「甘酒味」にしたかったわけではなくて。
発酵や麹から生まれる、後味に残るやさしい甘みを表現したかった。
そういう感覚って、日本独特なのかなと思いました。
食べた時に、じわーっと広がる感じがあるんですよね。
染み渡るというか。
海外の甘さって、もっとストレートなものが多いと思うんですけど、麹由来の甘みって、奥行きがある。
砂糖の甘さとはちょっと違うんです。
甘酒を使っているんですけど、「甘酒味」にしたかったわけではなくて。
発酵や麹から生まれる、後味に残るやさしい甘みを表現したかった。
そういう感覚って、日本独特なのかなと思いました。
「HELVETICAだからできることがある」
Q. HELVETICAだからこそ感じた可能性は?
A.FAVORIさんにはアイスがあるし、きくたろうさんには和菓子がある。
例えばドーナツにアイスを挟むとか、和菓子と掛け合わせるとか。
パン屋だけではできない表現が、ここにはあるなと思いました。
しかも店舗同士の距離が近いので、アイデアがすぐ形にできる。
そこはすごく面白い可能性を感じています。
例えばドーナツにアイスを挟むとか、和菓子と掛け合わせるとか。
パン屋だけではできない表現が、ここにはあるなと思いました。
しかも店舗同士の距離が近いので、アイデアがすぐ形にできる。
そこはすごく面白い可能性を感じています。
「他ではやっていない、新しいドーナツ」
Q. HELVETICAのドーナツを一言で表現すると?
A.“新しいドーナツ”だと思います。
例えばフレンチクルーラーも、普通はシュー生地で作るんですけど、HELVETICAではそのシュー生地をドーナツ生地に練り込んでいます。
オールドファッションも、全粒粉の香りを最大限活かした配合にしていて。
パン屋が作るからこそできるドーナツ。
他ではあまりやっていないことを、HELVETICAではやっているのかなと思います。
例えばフレンチクルーラーも、普通はシュー生地で作るんですけど、HELVETICAではそのシュー生地をドーナツ生地に練り込んでいます。
オールドファッションも、全粒粉の香りを最大限活かした配合にしていて。
パン屋が作るからこそできるドーナツ。
他ではあまりやっていないことを、HELVETICAではやっているのかなと思います。
「空間ごと、体験してほしい」
Q. 最後に、お客様に体験してほしいことは?
A.せっかくイートインスペースがあるので、ぜひ揚げたてをその場で食べてほしいですね。
コーヒーやクラフトドリンクもありますし、空間も含めて楽しめる場所になっているので。
持ち帰って家で食べるのとはまた違う、その場でしか味わえない体験があると思うんです。
ぜひ、空間ごと楽しんでもらえたら嬉しいです。
コーヒーやクラフトドリンクもありますし、空間も含めて楽しめる場所になっているので。
持ち帰って家で食べるのとはまた違う、その場でしか味わえない体験があると思うんです。
ぜひ、空間ごと楽しんでもらえたら嬉しいです。
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Pain Stock 大江さん
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今回、大江さんにはHELVETICAのベースとなる生地づくりに、たくさんの時間と試作、そして積み重ねてきた技術を注いでいただきました。
発酵、素材、食感。その一つひとつに向き合いながら生まれた生地には、ただ「美味しい」だけではない、つくり手の考え方や想いが詰まっています。 そしてHELVETICAでは、その生地をベースに、弊社の「菓匠きくたろう」や「sweets shop FAVORI PLUS」など、北九州スイーツヴィレッジ内のブランドが持つ素材や技術、世界観を掛け合わせながら、新しいドーナツの表現に挑戦しています。 和菓子と洋菓子、パンづくりの技術、それぞれの強みが重なり合うことで、ここだからこそ生まれる体験があると感じています。 この生地を大切に育てながら、これからもHELVETICAだからできる新しい美味しさを、多くの方へ届けていきたいと思います。 大江さん、本当にありがとうございました。 |